今回は為替市場において主要な通貨のクセ・特徴をご説明します。
「お金」は商品を購入したり、経済を動かすのに必要な、言ってみれば「血液」のようなもの。
紙や硬貨で流通している「お金」は、その紙幣や硬貨のデザインだけしか違いが無いと思う人が大多数だと思います。
しかし、為替市場では各国ごとで様々なクセや特徴があり、そのクセを知る事はFXを行う上で大変重要な知識です。
前回記事でも少しご紹介しましたが、今回はさらに詳しく「各通貨のクセ・特徴」についてご説明しましょう。
ここで言う「通貨のクセ」とは、主として為替市場でのチャートの変化に対するクセと為替市場での「役割」的な特徴です。
途中、いくつか専門用語が出てきますが、それについては後で解説しますね。
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≪特徴≫
・キャリートレード向き
・米国の影響を受けやすい
・安定性の信用度が高く、有事には買われる
日本円は私達、日本人にとっては「基軸通貨」。
実は米ドル、ユーロに続いてFX等で取引されている量は、世界第3位に君臨します。
しかし、現在の国際状況を反映するように「決済通貨」としての利用価値は低く扱われています。
要するに、FXで人気の通貨ではありますが、実際の交易等で使用される通貨としての知名度・価値は低いという事です。
また、日本円は日本国内の経済ニュースよりも海外のニュースに対して敏感に反応する特徴があります。
これは、日本という国自体が政治的・経済的に安定している事、世界一の「債権」国である事が起因しています。
安定しているからこそ、他国で異常が発生するとリスク回避の避難先として買われる特徴があるんですね。
更には、最近の低金利政策により「キャリートレード」通貨として人気です。
※「キャリートレード」
スワップポイント目的のトレード方法、低金利の通貨を調達して高金利通貨を買ってスワップポイント差を稼ぐ方法。
スワップは通貨ペアのポイント差によって発生し、利益を生み出します。
その為、低金利な日本円などを利用し、日本円を売って高ポイント国の通貨を買う事で高いスワップポイントを得ることが出来ます。
≪特徴≫
・入手できる経済情報が多い為、トレードしやすい
・基軸通貨であり、ドル中心で他の通貨が影響をうける
世界の基軸通貨であるドルは、日本円と違い、交易などにも利用され「地球の標準共通通貨」といっても差し支えないですね。
それだけ地位が高い通貨でありながら、FXでは世界の経済事情では無く、米国単体の経済指標にその価値が大きく影響を受けるのは、米ドルの発行元がアメリカ・FRB(連邦準備制度)だけだからです。
世界で流通している通貨ですから、FXで得られる情報が最も多い通貨でもあります。
一番の特徴は「有事のドル買い」という言葉があるように、経済のバッドニュースまたは大規模災害が起きた時では、他国通貨を売って米ドルを買う傾向があります。
これは、米ドルが世界的に通貨として利用可能だからです。
★米国ドル/日本円(USD/JPY) 2018年の推移
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≪特徴≫
・米ドルの好敵手であり、逆のチャート推移をする性質がある
・ユーロ加盟国の経済状況に影響を受けやすい
・値動きの激しい通貨である。
ユーロEU(欧州連合)は加盟国25ヶ国で、共通通貨ユーロを採用しているのは15ヶ国。
巨大な共同体であるユーロの標準通貨である為、基軸通貨および決済通貨として認知度が高い通貨です。
為替市場では同じ基軸通貨の米ドルに代わる第2通貨として認知されている為、米ドルの影響を色濃く反映します。
米ドルで「買い注文」が多くなると、ユーロを売って米ドルを買う為、ユーロは売りが多くなります。
米ドルで「売り注文」が多くなると、その逆でユーロは「買い注文」が増えます。
このように表裏一体の動きをする為、チャートでは真反対の推移をするのが特徴ですね。
そして日本円や米ドルと違うのは、単一国家の通貨では無く複数国家で使用する通貨であり、発行元が複数存在する事。
基本的には、ユーロ内で経済的に強い国「ドイツ」や「フランス」の経済状況が影響しますが、ギリシャの様な弱小国家の変化でも通貨ユーロは敏感に反応してしまいます。
その為、値動きの激しい通貨としても有名で、FX初心者には不向きな通貨でもあります。
★ユーロ/日本円(EUR/JPY) 2018年の推移
≪特徴≫
・個人投資家が多い国の為、値動きが激しくFX初心者には不向き
・石油価格に影響をうけやすい
・その激しい値動きは、ハイリスクハイリターンの性質を持つ
「大英帝国」の名前の通り、過去は基軸通貨として世界で流通していました。
米ドルやユーロなど歴史的に「新興通貨」に過去の地位は奪われましたが、FXにおいて現在も世界第4位の取引量を誇ります。
株式会社発祥の国、生命保険発祥の国であり、古くから金融活動が活発であったことから、個人投資も盛んな国です。
そんなお国柄の為、個人投資家達に翻弄される為替市場の値動きは激しく、初心者には注意が必要なレベルです。
実はイギリスは石油産出国としては世界第9位(!!)
その為、英ポンドは原油価格に影響を受ける性質があります。
また現在は市場も小さく英国中心である為、英国の経済指標や銀行金利の影響を大きく受けます。
★英ポンド/日本円(GBP/JPY) 2018年の推移
≪特徴≫
・資源国通貨である為、先物取引などの影響をうける
・中国が最大通商相手なので、中国経済の影響をうける
・スワップポイントが高く長期運用向き
オーストラリアの通貨で、羊とオージービーフが有名な国ですが、メタルなどを産出する資源国としての一面も持ちます。
こうした国の通貨は「資源国通貨」と呼ばれ、為替市場では安定した経済状況を有するので重宝されます。
そして一番の魅力はスワップポイントが高いというところですね。
その為、スワップポイント目的のトレードが中心で、値動きもさほど大きくありません。
このような通貨でのキャリートレードで重要な考え方としてレバレッジ1倍があります。そのメリットやリスクに関しては以下のページで解説していますよ!
・FXレバレッジ1倍でロスカットリスクを回避!計算方法はある?
また、豪ドルの特徴としては、「資源国通貨」の名前通り、金や石油などの資源価格に対しして敏感に反応する性質があります。
また、一番の交易相手が中国である為、人民元などの中国経済に対して影響を受ける特徴があります。
★豪ドル/日本円(AUD/JPY) 2018年の推移
≪特徴≫
・安定・安全が売り、FXトレードには不向きな通貨
・低金利なのでキャリートレード向き
・金相場による影響を受けやすい
「永世中立国」として有名であり、漫画や映画に登場する「スイス銀行」の名前も有名です。
実はその事と関係して「国際決済通貨」として人気がある通貨でもあります。
※「国際決済通貨」
例えばアフリカなどでは、米ドルが一般的に使用する事が可能な国があります。
日本でも米軍基地周辺では、米ドルが利用出来ます。
これは米ドルに十分な信用があり、その価値を認められているからです。
こうした信用度の高く、他国通貨と容易に両替が出来る通貨を「ハードカレンシー(国際決済通貨)」と呼びます。
実は過去、英ポンドが基軸通貨の時代には、欧州で代表的な通貨のひとつでした。
その為、現在も一定の認知度があります。
更に「永世中立国」という事で、戦争などが発生しても影響を受けにくいという事、流通する市場も限定的で為替価格も安定している為、価値の目減りが少ないスイスフランは資金を置いておくにはうってつけです。
FX的には価格変動が少なく、スワップポイントも低いことから人気はありません。
しかし、低金利なので日本円と同じく「キャリートレード」として利用価値があります。
ですが、「安全」な通貨としてユーロからの退避先として利用される事がありますね。
その為、ドイツなどの近隣諸国やユーロのネガティブなニュースがある時には注意です。
また、世界第4位の金保有国であり、スイスフランは金相場の影響を受けるのが特徴です。
★スイスフラン/日本円(CHF/JPY) 2018年の推移
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今回はトレードに向いた通貨のクセ・特徴を見極めて選ぶ条件を説明している動画をご紹介します。
「通貨ペアの特徴と選び方」
今回は通貨の特徴について詳細をご説明しました。
本記事以外にもFXで利用されている通貨は多々あります。
それぞれに特徴があり、為替市場での利用法や価格推移に相違がありますから、自分がトレードしたい通貨の特徴を把握する事でテクニカル分析にも大きく応用する事が可能でしょう。
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