今回はFXの「通貨オプション」についてまとめてみます。
あなたがFXを始める、または始めようと為替情報を収集していると「オプション」という単語を良く見かけませんか。
この「オプション」という単語、
「バイナリ―オプション」
とか、
「オプションカット」
とか色々な単語・種類があります。
そうした「オプション取引」はまとめて「通貨オプション」と呼ばれていますね。
日本ではまだ認知度が低い取引方法なのですが、外国では活発に「オプション取引」が行われています。
実はFXでチャートを常時監視して売買取引をしている方でも、「通貨オプション」は知っておいたほうがいいですね。
何故ならば、 この「通貨オプション」が大きな価格変動の要因のひとつだからです。
詳しく追ってみましょう。
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まず分かりやすく端的に意味を説明すると、通貨オプションとは
「通貨の先物取引」
のことを言います。
正しく説明すると以下のようになりますね。
特定の通貨に対して、あらかじめ定められた期間(または期日)であらかじめ定められた為替レート(権利行使価格)という条件下で、
買う権利(コール・オプション)
または
売る権利(プット・オプション)
の2種類の権利を売買する取引
をいいます。
分からない人向けにもっと具体的な例を当てはめてみましょう。
A氏が下記の条件①,②の「権利」をB氏から購入したとします。
条件①.あらかじめ定められた期間=「12月15日~20日」
条件②.あらかじめ定められた為替レート=「1$=¥120」
A氏は「12月15日~20日」の間だけ、B氏から市場の価格に関係なく「1$=¥120」で買う事が出来ます。
もし、「市場価格:1$=¥125」になった場合でも、A氏は「1$=¥120」で取引出来るというわけですね。
この場合、A氏は¥120で1ドルを買って、そのまま市場へ「売り」に出せば発生する¥5円の差額がA氏の利益になります。
これが「通貨オプション」ですね。
実際には手数料にあたる「オプション料」が発生しますから、それも込みで売買しなくてはなりません。
そして権利を有するA氏は、通貨オプションを行使する権利 はありますが、行使する義務はありません。
ですから、必ず定められた期間「12月15日~20日」で取引する必要もありません。
でも、期間が過ぎてしまうと「1$=¥120の権利」も消滅します。(これをノックアウトといいます。)
その時、「通貨オプション」は「1$=¥120で買う権利」だけですから、「通貨オプション」を購入した代金がA氏の損害になり、逆にB氏は代金分儲けます。
先の例にあげた通り、価格変動に対するリスクを回避できる性質が「通貨オプション」にはあります。
FX取引として「利ザヤを稼ぐ」以外でもよくあるのが、貿易を行う企業間の支払いなどでも利用されていますね。
さて、肝心なこの「通貨オプション」の動向を知る事であなたにどんな利益があるのでしょうか?
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前記事で紹介した「ダウ理論」中で、下記の「基本法則」をご紹介しました。
この世のすべての出来事は市場に影響を及ぼす
という考え方です。
例えば、2015年.12月ではガソリン価格が急激に下がりましたが、それにより「米ドル:円」では円高方向へ急激に影響が顕れました。
これはリスク回避を望んだ為に原油取引から為替市場に資金が流れ込んだ為です。
こうした急激な値動きですと指値をしていてもすべってしまう恐れありますね。
FXの逆指値ですべる原因は?指値で約定しない対処方法について!
一見して関係の少ない「原油価格」と「米ドル:円」でもこんな特有の相互関係が成り立っています。
外貨の価格変動に対するリスクを軽減させるのが「通貨オプション」の持つ特徴のひとつ。
それゆえに貿易取引で「通貨オプション」を利用して支払いを行う場合は多く、その取引金額も何億といった大金が取引されます。
当然、その大量の資金の流れは為替市場の価格を変動させる動機に。
となると、通貨オプションの満了を事前に知っていれば為替市場の価格変動の波に乗って稼げるのでは…?
そう考えますよね。
実は「通貨オプション」の大口取引は公表されているんですよ。
図は私が実際に取引している「ヒロセ通商」のFXニュース。
この様に「通貨オプション」の取引は公表されている場合があります。
例えば、
「123円 売り、OP14日NYカット」
とありますが、$1=123円で売る権利が14日のNYオプションカットで期限を迎える事を表しています。
期限を表す「オプションカット」、「NY」「東京」とそれぞれ の市場で「通貨オプションの権利失効」する時間を意味しています。
●NYオプションカット=夏時間:日本時間で23時(NY現地市場の9時)/冬時間:日本時間で24時(NY現地市場の10時)
●東京オプションカット=午後3時
この時間になると為替市場の価格は大きく変動する場合が多くなります。
何故ならば、「オプションを行使したい側」と「行使させたくない側」との間で価格のせめぎ合いが発生する為です。
最初に説明した様に「通貨オプション」は企業間の貿易での取引でも利用されています。
この時、オプションを行使したい側は自分に有利な価格で権利を使いたい。
逆に行使される側も自分に損失が発生しない様にしたい、または権利期限をオーバーさせて権利を失効させたい…という互いの思惑が為替市場に反映される場合が起こりえます。
FXでは様々な人達が参入していて、銀行や証券会社にしても1社や2社ではありません。
無数の金融会社が「通貨オプション」で何かしらの「売り契約」「買い契約」をしています。
特に「NYオプションカット」では、多くの通貨オプションが時効を迎えますから、相手の権利を失効させる為に金融会社が自分に有利な方向へ注文を多発させる可能性があります。
ということで、「オプションカット」前では、こうした思惑による「レンジ相場」、「レジスタンス」が多発します。
前回記事でご説明した様に、こうした「レンジ相場」や「レジスタンス」は大幅な値動きが発生する要因です。
レンジ相場とレジスタンスの説明は以下のサイトを参考にしてくださいね。※小見出し「ライントレード手法参照」
FXダウ理論のテクニカル手法!チャート分析でトレンドを知る!
この時、レンジ相場に発生しているレジスタンスを「オプションバリアー(オプショントリガー)」と呼びます。
「バリアー」ですから、「守り」ですね。
通常のレジスタンスと少し違い、明らかな意図によって発生している価格設定値である為にそう呼びます。
「オプションバリアー」の価格は誰かにとって利益を守るために死守すべき価格値です。
「オプションカット」前に発生した「レンジ相場」から設定されている「オプションバリアー」を読み解けば、その価格で反転が多発する事が読み解けます。
「オプションバリアー」を基準に細かくスキャルピングする事で利益を得ることが可能というわけですね。
更に、「オプションカット」時刻を過ぎればレートを操作する意味も無くなり、多数の注文は霧散して価格はどちらか一方へ大きく動く可能性があります。
また、時刻前に「オプションバリアー」を越えた場合、死守していた側が勝負を諦めて損切り決済(ストップロス)を開始する時があります。
そうなると、一気に変動が起きることに。
ですから、オプションカット前のレンジ相場から狙うことで、オプションカット時刻前後にトレンドを起こす可能性が高いんです。
ちなみに、「オプションバリアー」の設定値は「120円」や「100円」などのキリが良い値が多いですね。
しかしこの「オプションバリアー」、実は毎回オプションカットで発生するとは限りません。
そつない感じで取引が終了して、特に波風立たずにオプションカット時刻を経過する場合もあります。
「通貨オプション」には互いに損益が発生しますが、市場の価格を変動させる程の資金を有するトレーダーはいないでしょう。
多数のトレーダーの思惑が偶然に重なる時だけに「オプションバリアー」は発生するわけです。
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こちらでは通貨オプションで最近注目が集まっている「バイナリーオプション」の詳細説明動画をご紹介しますね。
今回の 「通貨オプション」のメリットをまとめると下記の通りになります。
①FXニュースなどで事前に「通貨オプション」の取引、「オプションバリアー」の有無を確認出来る。
②「オプションカット」前には、短期的なテクニカルで予想可能なレンジ相場が発生している場合あり
③「オプションカット」後には、トレンドが発生する可能性が大(ただし、②が発生している事)
様々な要因が為替市場には作用します。
特にこの「通貨オプション」は直接的な要因ですから、なるべく注目して取引を行えばメリットだけで、デメリットは無いはずです。
ちなみに「通貨オプション」をFX取引として 個人で発注する事も可能ですよ。
実際に取引可能かどうかは、各自のFX会社をご確認してくださいね。
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