前回記事では「ボリンジャーバンド」に関して、実践的な手法をご紹介しました。
あなたがこれを読んで「ボリンジャーバンド」を利用したならば、このツールに「クセ」というか、イマイチ、「使用しづらいツール」という印象を持たれたはずです。
今回はそうした「マイナス印象」…「ボリンジャーバンドの欠点」に関してまとめてみます。
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目次
前にもご説明したように「ボリンジャーバンド」は過去の上下限値を表すものであり、未来予想のチャートを表したものではありません。
よく
「σ線に触れたら逆張り」
という手法も紹介しているサイトもありますが、それは「σ線の内側にチャートは収まる」という法則だけを基準にした手法であり、鵜呑みに信じるには統計学的にも確率的にも不安定な方法なんです。
「ボリンジャーバンド」を構成している「各σ線」は刻々と変わるチャートを反映して変化して行きます。
その為、逆張りした途端に「バンドウォーク」を始めたりする事も多々ありますし、その時に見た「ボリンジャーバンド」はチャートの変化に合わせて数分後、数時間後にはボリンジャーバンド自体の形が変化してしまいます。
「ボリンジャーバンド」は「σ線」を用いてギュッとσ線が縮んだ「スクイーズ」から大きく拡がった「エクスパンション」へとチャートが動く姿を表現しているだけにすぎません。
前回の手法でも「2つの時間足」でバンドウォークを確認し、さらには過去の「サポート」「レジスタンス」を確認して、最後にトレンドを認識してからトレードを開始しています。
前回の記事は以下で詳しくしょうかいしています。もしご興味があれば参考にしていただければと思います。
この様に「ボリンジャーバンド」だけで高い利益を出すには、トレンドがハッキリと認識可能な極めて限定的の場面でしか利用できないんですね。
まずは結論から、「ボリンジャーバンドの欠点」をまとめてみました。
ギュッとσ線が縮んだ「スクイーズ」状態から、大きく拡がった「イクスパンション」を確認したとします。
この時にトレンドに沿った「順張り」を行うべきか、σ線から反転する事を見越して「逆張り」するかはあなた自身に任されています。
一番肝心なチャートの方向が自分でツールから読み取る事が出来ないのは大きな欠点ですね。
1項にも準じますが、チャート上でハッキリとしたトレンドが形成されないとトレードが開始出来ないのが「ボリンジャーバンド」の欠点です。
また「ボリンジャーバンド」で具体的なトレード開始条件が規定されていないのも初心者にはもどかしいところ。
「「ボリンジャーバンド」がこうなったらトレード開始」といった解りやすい条件が無い為、やはり最終決断はあなたの分析のセンス次第となってしまいます。
2項と同じでトレンドが視認しにくい「レンジ相場」では、その上下周期が細かくなるほどに「ボリンジャーバンド」も収束して動向を読み取ることが困難になります。
1~3項で示した様に「ボリンジャーバンド」だけでは、「トレード開始点」を探しにくく、また「決済位置」を判別しにくい為に大きな利益を得ることが難しくなります。
「ボリンジャーバンド」で「スクイーズ」と「イクスパンション」を確認するという事は、「トレンド形成を確認⇒トレンドの完全終息を確認」というある程度の「余裕」を確保して確実性を取る方法になります。
各「σ線」の内側に高い確率でチャートの動向は収まる…、こう考えてトレードを行っていると「σ線に触れたら逆張り」という手法がメインになってバンドウォークを見逃したり、大きなチャート動向を見逃す可能性が高くなります。
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「ボリンジャーバンド」とは基本的に観察ツールであり、「積極的な投資ツール」ではない事が理解できたと思います。
「ボリンジャーバンド」を用いてチャートを観察し、ごく定められた条件が発生した時だけトレードを実施する、この方法では利益は限りなく少ない物になるでしょう。
そこで「ボリンジャーバンド」と同時に違うツールを併用して欠点を補う方法があります。
初心者向けに今回は「移動平均線」と併用したトレード手法をご紹介したいと思います。
「移動平均線」とは、この記事の内容が理解できる方ならばご存知とは思いますが、今回は基本的な項目を「箇条書き」と「図」でご紹介していきますね。
箇条書きにポイントをお伝えすると・・・
この3項4項の「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」を用いてトレンドの「開始点」と「終了点」を予測し、「ボリンジャーバンド」との併用で先の動向を予測します。
例えば下図に示したチャートがあります。
ローソク足だけだとチャートの動向、特にトレンドの始点・終点が解りません。
これに「ボリンジャーバンド」を適用してみます。
各σ線に触れて反転しているのが解ります。
ですが、チャートが描画されている「その場」にいた場合、トレンドの方向を判別するのは難しいでしょう。
さらに「移動平均線」を重ねます。
ボリンジャーバンドのσ線の接点と平均線がクロスしている箇所が「始点」と「終点」。
さらに平均線の重なり方によってトレンドがより具体的に「見える」様になりました。
先の「ボリンジャーバンド」と「移動平均線」の併用によって効果があるのか実験してみましょう。
「ボリンジャーバンド」と「移動平均線」を同時にチャートへ適用します。
チャートは2016年04月11日の「米ドル/日本円(USD/JPY)」「10分足」「15分足」「30分足」と3パターンのチャートを確認しました。
「15分足」
「ボリンジャーバンド」ではマイナスσ線を、ややバンドウォークぎみにダウントレンドで移動しています。
「移動平均線」では、すでに長期平均線が上からクロスする「ゴールデンクロス」が発生しています。
「ボリンジャーバンド」はダウントレンド、「移動平均線」はダウントレンドの終了を示しています。
「30分足」
「ボリンジャーバンド」では「15分足」と同じダウントレンドです。
ですが、「移動平均線」のクロスが無くなりました。
「ボリンジャーバンド」「移動平均線」共にダウントレンドですが、終わりかけのダウントレンドです。
「60分足」
「ボリンジャーバンド」では「15分足」と同じダウントレンドで、かなりダウントレンドの距離が伸びています。
「移動平均線」のクロスは無くなりダウントレンド継続中です。
「ボリンジャーバンド」ではダウントレンド継続中ですが、「移動平均線」では、【近々にタウントレンドが終了(1時間ぐらい?)】すると予想出来ます。
ただし、長い時間足から見るとその【反転時期はもう少し先(1時間以上?)】の様です。
どうも、現時点では「逆張り」を仕掛けるにはまだ早い気がします。
簡単に利益が出せる方向である「順張り」でトレードを行います。
この時の決済価格は、過去の「サポート」と「レジスタンス」を水平線とし、そのラインと移動平均線の傾斜線が交わる位置としました。
「3Lotで売り注文」として予想は「プラス¥400」ですが、イマイチ「着地点」が読み取れません…。
今回は確実に利益が得られるように「プラス¥200」で指値を入れます。
予想が外れて「σ線接触による価格の反転」が怖いので逆指値も設定しておきましょう。
結果として15:05にトレードし、15:27「指値」決済して、「プラス¥200」の利益となりました。
最終的にはチャートは下図に示す様な軌跡を描きました。
やはり反転が生じてアップトレンドに変化していますが、その発生は15:40ごろと、想定内の値になりました。
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再三ご説明している「σ線に接した時の逆張り」手法の欠点に関する説明をしている動画をご紹介しておきます。
「FXボリンジャーバンドで2σ逆張りを狙うと死ぬ理由。ボリバンの使い方」
今回こうして「ボリンジャーバンド」を調査してみると、実はこのツールかなり中級から上級者向けのツールである事がわかりますね。
本記事の「実践」で解るように「予想したトレンド方向」と「トレード開始位置」が決定していて、それが正しい、または勝算が高い事を確認する為のツールが「ボリンジャーバンド」なのかも知れません。
他のツールと併用して利用範囲が広がるのが「ボリンジャーバンド」です。
様々なテクニカルツールと併用し、自分の投資ルールを作り出してください。
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